◆Date 「2004年06月」 の記事一覧 

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色鮮やかな夢

目が覚めると、それまでの夢の中の色の洪水のせいで、どっと疲労感が押し寄せる。
疲れを取るはずの睡眠が、わたしにとっては逆の効果となって現れることがよくある。

自分の夢がフルカラーであることを、初めてはっきり意識したのは、
ドイツに来て間もない、まだホームステイをしていた頃のことだった。
色だけでなく、味や匂い、時には何かに触れたり触れられたりする感覚もあるのだから、堪らない。
映画よりも鮮明な映像と、映画にはとてもなりそうにない破綻したストーリー。
眠っている間ぐらいゆっくりしたいのに、わたしの夢はそうはさせてくれない。
おかげでこの4年間、見た夢を起床直後に覚えていなかったことは、おそらくほとんどないように思う。

夢のメカニズムは私はよく知らないけれど、やはりこれは熟睡できていないということなのだろうか。
これが留学当初というのなら、まだ話は分かる。
慣れない国、慣れない言葉、慣れない習慣に毎日戸惑っていたあの頃、
また来る新しい明日のことを思い不安に駆られたり、遠く日本にいる家族や友人を恋しく思えば、
よく眠れないということも不思議ではないだろう。
だがあれから既に4年以上の月日が経ったのだ。石畳の上を歩いて買い物に行くことも、
近所の教会の鐘の音で正午を知ったりすることも、ドイツ人の友人とカフェでお茶をすることも、
今となってはすっかり日常と化しているはずなのだ。
それにも関わらず、わたしは一体何をそんなに緊張しているのだろう?

緊張感のある毎日、と言えば聞こえはいい。だが、本当にそうなのだろうか。
とてもそうは思えないところが、我ながら情けない。

もしわたしが一生この国に住むことになったなら、
昨夜の夢なんて起きたら忘れてしまっているほど、ぐっすり眠ることができるようになるのだろうか。
その時までには、この国にも言葉にも習慣にも、すっかり心を許せているといいのだけれど。

幸せな妄想を連れて

空の青と雲の白、そして木々の眩いばかりの緑。
それらが一年で最も美しく目に飛び込んでくるのが、ちょうど今の時季である。
長かった冬の分を取り戻すかのように、晴れた日には皆、散歩に繰り出す。

ドイツ人は本当に歩くのが好きだと思う。
わたしも5年のドイツ暮らしで、すっかりその習慣が身に付きつつある。
ある時は川辺を、またある時は森の中を、ゆっくり時間をかけて。
途中見かける草木のささやかな美しさにはっとしたり、
普段聞きなれない鳥の声にそっと耳を傾けてみたり、
木と木の間からこぼれる陽の光を全身に浴びてみたりしながら、
幸せな妄想に耽るのが、専らの楽しみだと言ったら、人は笑うだろうか。

「家に閉じこもって考えてても何も解決しないでしょう?
どうせ考えるなら、歩きながら考えてみて。全然違うから」
昔、友人に言われたその言葉を、わたしは今も大切に覚えている。
一歩一歩歩いていくと、後ろに風景は流れる。
踏み出す前にいた位置からと、踏み出した後の位置からは、目に映るものも同じようでいてやはり少し違うのだ。
そうしていくうちに、光と自然の色とに癒されていく自分を感じる。
立ち止まっていても仕方がない、自分が歩かなくては何も始まらないんだ、
彼女の言葉は、わたしにそれを気づかせてくれた、有難い一言だった。

週末も天候に恵まれて、森を散策。どんな妄想を道連れに歩いていたかは、内緒にしておこう。

信じたい

「知りたがり屋さんなのね」その日初めて知り合った彼女が、突然そう呟いた。
「そして、常に知的でありたい、と思っているでしょう?」
何の話か分からず戸惑うわたしには構わず、彼女は続ける。
「いろんなものが見えるのよ。あなたには。人よりも良くね。
そして、何が大事で何が大事でないか、あなたは良く分かってる。
ビジョンが明確で、目的に向かって行けば、必ずやり遂げられる。ただ、忍耐強くないのよね。
だから、自分がそういう気質であることを、あなたはよくよく自覚しておく必要があるの。
でもそうすれば、上手くいくわ」

どうして?まだ会ってから30分も経っていないのに!と不思議でならなかったのは、
もちろん彼女の言葉がズバリ当てはまっていたからに他ならない。
確かに知的好奇心は自分でも旺盛だと思うし、短気で忍耐が足りないと、いつも人に指摘されるのだ。

少々興奮気味のわたしに、「さっきあなたの誕生日を聞いたでしょ。それで分かったのよ」と言う彼女。
はるばる韓国からドイツまで声楽を学びに来た彼女は、歌だけではなく、どうやら星占いの才能もあるらしい。
「これ、わたしの一番の趣味なのよね。歌で食うのに困ったら、駅前で占い師として稼ごうかしら?」
きれいにお化粧してきりりとしていた顔が、初めて緩んでますます輝いて見えた瞬間だった。
また会いたい、そう思わされるそれは素敵な笑顔だった。

わたしは一つの目的を成し遂げるために、ドイツでの生活を始めた。
時が流れ5年経った今、未だにゴールが見えず焦りに焦っている時に聞いたのが、彼女の言葉だった。
それがどれだけ力強く響いたことか。
占いなんて信じない、そう思ってきたけれど、彼女の占いなら信じられる、いや、信じたい。
そして、わたしの力のことももう少しだけ信じてみよう、今はそんな気持ちになっている。

いつか「あなたの占いは本当に当たっていたわ」と笑って言える日が来ることを願って。

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