◆Date 「2003年10月」 の記事一覧 

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空を見上げて

日本との時差が7時間から8時間になった翌朝、私は一人電車に乗っていた。

最近の電車のお供は、専ら軽めの雑誌や文庫本。
だがそれらも、ほんの数ページめくっただけで、その役目を終えていた。
車窓の外の風景を眺めることの方に、いつの間にか夢中になっていたからである。

何があるというわけではない。
停車駅ごとに設置されている時計は、どこも例外なく、
昨日よりきっかり一時間、時計の針が進められていたことには少々驚いたものの
(いつもいい加減なドイツ鉄道を、私はあまり信用していないのだ。それだけにびっくり。
それとも単に、自動で切り替わるようになっていたりするんだろうか?)、
それ以外はいつもと同じ、何の変哲もない風景。
町と町との間は、どこまでも続く畑が一面に広がっているだけ。
どこまで行っても、何も変わらぬ景色が続く。

空って広かったんだな。
ふと、そう思った。

この辺りは、高い山がほとんど見当たらない。
高いビルもない。住宅で密集してもいない。
空を遮るものが、何もないのだ。


数年前、ホストマザーの兄弟と真夜中にドライブをしたことがある。
走行中に車に異変を感じた彼は、人気のない場所に停車して、車の調子を見ていた。
それは確かちょうど今頃の季節だったように思う。
待つことに飽きた私は、凍えるほど寒いと思いつつも、コートを手に車の外へ出た。
そして、驚愕した。
頭上に広がっていたのは、これまで見たこともないような満天の星空。
宝石箱、いやバケツいっぱいの宝石をひっくり返したって足りないくらいの、
それは見事な夜空で、私はコートのボタンをとめることも、首が痛くなることも忘れて、
ずっとずっと空を見上げていた。彼に笑われるまで、ずっと。


空を見上げると、懐かしい気持ちになる。それは、温かくて、少し痛い感情。
幼い頃から、天体に興味があった私は、毎晩ベランダに出ては空を見上げていた。
それこそ、風邪をひくわよ、と母が声をかけるまでずっと。
その時見ていた星座と同じものを、時も場所も隔てた今この場所で、私は見ることができるのだ。
なんだか途轍もなく、不思議な感覚に囚われてしまう。

自然を、天体を、宇宙を感じるとき、自分はなんてちっぽけなんだろう、と思う。
そして、さっきまで悩んでいたことが、いかに些細でつまらないことだったかを思い知る。
神様は偉大なものを創造されたものだ。


心が沈むと、自然に視線も下に向く。
でもそんな時にこそ、空を見上げて、いろんなことを思い出したい。
あの時決心したこと、苦々しく思ったこと、元気になれた時のこと。


今日も見事な秋晴れ。
清々しい一日のスタートが切れそうだ。

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