◆Date 「2003年02月」 の記事一覧 

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何も言わずに抱きしめて

ドイツに来たばかりの頃、生まれて初めて日本人以外の人と暮らして戸惑ったのは、
ひょっとしたら、その厚い言葉の壁でも、食べ物の好みの違いでもなく、
我々とは違う文化や習慣を持つ、この国の住民の、彼らとの距離だったかもしれない。
近いでもなく、遠いでもなく。
私は、初めての外国暮らしの中で、ドイツに暮らす人々との距離感を、まるで掴めないでいた。

どれだけ離れるとよそよそしいと感じるのか、どこまで踏み込めば「親しさ」を表現できるのか。
初対面であろうと挨拶でキスをする習慣があるかと思いきや、
かといってむやみやたらに他人に干渉したりはしない。
彼らに接する度、私はいつも混乱していた。
そして、自分でも気づかぬうちに、彼らを遠ざけ、
いつのまにか一人で勝手に孤独を感じるようになっていた。
きっと、当時の私には、彼らの文化を知ろう、受け入れようなんて発想がなかったのだろう。
とてもそんな心の余裕があったとは思えない。

あれから3年。
楽しいことも悲しいこともたくさんあったけれど、
嬉しいときはその喜びが増大され、苦しいときはその辛さが軽減されてきたのは、
その度にいつも彼らが私をぎゅっと抱きしめてくれてきたからじゃないか、そう思う。
出会い頭の挨拶のキス、その頬の温度を感じるだけで、
「またね」と別れ際に抱きしめられる、その腕の強さを感じるだけで、
晴れやかな気持ちはますます明るくなり、沈んだ心からは暗いものが取り除かれてきた。
多くの言葉を並べ立てられるより、はるかに効果的に。
なんていい習慣なんだろう、そう思わずにはいられなかったことは、もう、数限りない。
一体どれほど癒され、何度救われてきたことだろうか。我ながら単純だとは思うけれど。

肌が触れると温度を感じる。そうやって距離が縮まると、心の距離も自然と縮まる。
そんなものなんじゃないかなって思う。
最初に感じた戸惑いや混乱した気持ちは一体どこへ行ったのだろう?
この3年で、ようやく私も、彼らとのよい距離を、物理的にも精神的にも程よい距離を、
保つことができるようになった、ということなのかもしれない。

何も言わずにただ抱きしめてくれる、そんな存在が周りにたくさんいて、幸せだと思う。
今わたしがここにいられるのは、みんなみんな、彼らのおかげ。
いつも、本当に、ありがとう。

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